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 鈴木三吉商店


2008.2.19


生まれ育った静岡も温暖な土地でお茶は勿論、ミカンも特産だ。子供の頃には、よくミカン狩りにも出掛けた。楽しい想い出だ。
今年のミカン。昨年夏が異常な気候だった為、全国的に小ぶりな物が多いと聞く。その反面、ギュッと甘味の詰まった物が多い。
さて、この越冬みかん。香川の農家のお母さん達が一粒ずつ丁寧に樹になったミカンに袋をかけると云う手間のかかった代物だ。越冬…、それは冬を越すって意味の通りに、袋かけされたミカン達は大事にされながら冬を越す。ミカン農家の母さん達の『美味しくなりなさいね』と云う温かな心がうま味となって、ほうばった口の中に迸る。最近流行りの甘さにこだわった農作物とちょっと違う。子供の頃に行ったミカン狩りを想い出す甘味と酸味のバランスのとれた懐かしい味。こんなミカンをこたつに入って何個もいっぺんに食べたなぁ…。こたつとお煎餅とミカン、そんな昔の団らんの時間を想い出した。

 

 




2008.2.4


『羽根さぬき』
到来物で和三盆の菓子を頂戴した。可愛らしい箱をパッと開けた瞬間、嬉しさに顔がほころぶ。そんな事を想いながらパッケージしたに違いない。そんな風に僕は思う。
サトウキビを搾り、飴色の下糖を伝統的な搾り器、押船などと云った道具で搾り磨きを繰り返し、手間を惜しまず出来上がるのが、和三盆。それを一つ一つ丁寧に丸めて和紙に包み込む。原材料、サトウキビ。たったこれだけをひたすらに搾り磨いて、丹精こめて作られた菓子など他にない。だからこそ、善い物と些かそう言いがたい物の差は歴然とする。人の生活もそう言えると思うが、シンプルに生きる事がいかに難しい事か。この可愛らしいお菓子も人も叩かれ揉まれ磨かれて初めてその味わいになる。小さな一粒の和三盆の菓子も見る角度を変えて見つめてみたら美味しさ以上のものが見えてきた。口に含んだ羽根さぬき、解けるように口の中で溶けてゆく。何も引っ掛かりがない。やはり本物は優しい。本物は、僕らを威圧しないんだな。

 

 




2008.1.7


三種の神器と云うには些か大袈裟かもしれないけれど、新春を迎えるにはこの三種だけは必要不可欠だ。黒豆にキントン、そして数の子の松前風。流石に最近では、色々な種類のお節料理なんて要らなくなった。料理屋さんでも美味しいとこ取りで充分だが、この三種だけは譲れない。
勿論、人によっては、田作りが無いとねッ、なんて人も居るし、伊達巻が入らないとねぇ、と言う人も。時代も流れて人間も変わってきてる最近。しかし、何処のDNAが正月らしさを求めている。それが、この三種の神器って訳だ。しかも、数の子の松前風なんてのは、正月休みが終わっても御飯の友に最高。アツアツの御飯に乗せて食べたら言う事無し。冷蔵庫を開ける度に、まだあるなぁって口元が緩む。今日も土鍋で御飯炊くかなぁ。なんてね、とっても楽しくなる。

 

 




2007.12.7


田舎のアマチュア・バンド時代、練習の後にミィーティングをといつも集った『さわやか』ってレストラン。
規模の小さな地元のチェーン店だ。炭焼きハンバーグが定番商品。つなぎを使わずミッチリと肉で固められたハンバーグを備長炭で焼く。赤身が残った状態で熱々の鉄板に乗せられてテーブルに運ばれて来る。 ジュウジュウと特製のソースが鉄板の上で湯気と煙りを立ち上らせる。
先日、30年振り程に静岡の高速入口にあった店に立ち寄ってみた。嬉しい事に、今も変わらない味と演出である。大手のファミレスには、到底真似の出来ない手作り感溢れるハンバーグだ。これは、高速を一旦降りてでも食べに寄る価値もあるやも知れぬ。巷では、やれミシュランの東京版だなんて騒ぎもあったが、そんなのはどこ吹く風の『さわやか』の炭焼きハンバーグだ。

 

 




2007.10.31


まるで江戸育ちのような女将の陽気さに釣られて僕は静岡の鰻料理・満喜多に。鰻は待ってなんぼである。最低でも40分待たせる店でなくては駄目だ。その時間こそが本物の証である。 熱々の白米に歴史あるタレが染み込み、艶やかな鰻の蒲焼きが乗せられる。お重の蓋を開ける時、心が踊る。少し甘めのタレの匂いが立ちのぼる。口に含んだら、鰻独特の脂の香りとうま味がふわりと広がる。『端数はまけといたからねぇ』と言う女将の元気な声を背中で聞きながら、『ご馳走さまぁ』と店を後にする。この幸せは何だろう?味は勿論だが、やはり人柄が醸し出す一級品って事だと思う。

 

 




2006.6.15


『清々しいお菓子』
まとわり付くような蒸し暑さの中、四条通りを鴨川を渡る。
八坂神社が突き当たりに見えると祇園だ。観光客賑わうその中を暫く歩き花見小路に差し掛かる手前、一力さんが反対角に確認出来れば間違い無くその場所だ。京都の梅雨の蒸し暑さは言うまでもなく辛い・・。
この歴史ある甘味処は正にそんな中にあるオアシスである。
「鍵善」の葛きり。上等な吉野の葛を使った夏のしのぎ。清清しい咽越しでスルリと咽を通過する葛きり。やや甘めを強くした黒蜜にサッと潜らせて頂く・・。梅雨時もなかなか捨てたもんじゃないな・・、そんな安堵した気分にしばし浸る。外に出たらまた小雨が降り始めていた。 やれやれ、まだ梅雨はつづくんだな・・。

 

 


鍵善の定番。吉野の葛を使った、葛きり。


2006.4.20


『桃太郎伝説もぶっ飛ぶ美味さ』
地方を旅してみると、その土地土地に美味い物が必ずある。特産物ってやつだ。「温泉まんじゅうに美味い物無し・・」なんて言っていたのも昔の話し。今はどこの温泉街に行っても丹精込めて作られた温泉まんじゅうが湯気を上げて蒸されている。
さて、話しがいささかそれてしまったが、岡山に絶品の桃がある事はご存じだろう。
桃そのものが素晴らしいのだから敢えて加工品なんか・・。普通はそう考えるだろう。が、しかしである、この白桃のゼリーに至っては想像を 超えた美味さだ。使用する桃は、献上品に値する程の品質の物を贅沢に使う。ぜりーで封じ込まれた桃はみずみずしさもそのまま。しかも、岡山の高島屋の地下の売り場「アンシャンテ」で手軽に買えると云う事も嬉しい。他、シロップに漬け込んだ瓶詰もオススメしたい。

 

 


岡山の名品。
食べた瞬間『えッ!』って思うハズ。


2006.3.29


『食べるという事・・・』
昨今、食に対する考え方だとか、認識とか・・の変化が多く。何を食べるのが本当に良いのか・・??、考えはじめると、色々な物に対しての疑いの目ってのが沸いてくる。書店でも「食べてはいけないもの」などと云う書籍までもがベスト・セラー作品になった。
確かに添加物まみれの加工食品などは、いかがなものか・・?と思う。自給自足と云う手段に出るのもひとつの手段だとも思うが、なかなか難しい。本当は、国レベルでの「本来の農業のあり方」と云う事を問う 時代なんだろうと個人的には感じる。
思えば、あのモダンな印象を与えるイタリアにしても、ファッションの国フランスにあっても、車先進国的なドイツにしても、実は農業国だ。
何故、ニッポンだけが出来ない・・??。出来ないなんて事はあり得ない。本当は出来るはずだ。まぁ、ご託を並べても仕方ない。食べる時には、気にしない。美味しく食べるのみだ!!。
とん太郎のポーク・ステーキ。病は気からである。美味しく、ガッツに食べていたら病気もフッ飛ぶ!!。ニッポン人は心の病にかかりやす
い・・。

 

 


細かい事は、忘れよう!
ガッツに食って明日に備えましょう!


2006.1.27


忙しい時代に『むかしかすていら』
生まれ育った街、掛川に仁藤という町がポツンとある。まだ掛川の街も華かな時代、商店街は沢山の店があり、商いをする活気溢れる空気が満ち満ちていた。映画館も劇場もあり、僕にとって町へ出掛けて行くのは何とも晴れがましい気分だった。それも遠い昔の時代となり、今では商店街もシャッター通りとなってしまい淋しい限りだ・・。
そんな仁藤の通りを車で走り抜けようとした時、一軒の和菓子の店を発見。もともとは、葛粉で有名な掛川。葛湯は、しょうがを入れて「風邪によく効く」と子供の頃に飲まされたものだ。
『桂花園』は、そんな葛を商う店である。この店の「むかしかすていら」は、一般のカステラとは趣きの違う物。一般では、大きく焼いたものを積み木状にカットするが、ここのは違う。1本ずつを型に入れて焼き上げる。随分と手間のかかったカステラだ。
口に入れると、ほのかに甘さがやってくる。そして、何とも楽しい香ばしさが鼻の奥でしばらく留まる。 その僅かな時間、僕は昔の掛川を想う・・・。胸の奥がギュッとなる・・。

 

 


桂花園の『むかしかすていら』
慌ただしい毎日に、懐かしい田舎のお菓子


2005.12.07


『力の抜けた良い仕事・・・』
世の中はホントに様々だ。この頃特にそんな風な事を考えたり、目の当たりにする事が多い。行列の出来る名店・・。素敵な響きだ。そんな行列の先には、店鋪展開と多角経営という未来が・・・。とても魅力的な響きである。だけれど、回りを見渡すと・・始めは良いが・・最近は・・、みたいなものが多い。一部の友人の店を除くと殆どが「世の中の移り気」なんて悪魔にやられた屍ばかり。
浅草の片隅には、そんな事とは全く関係なしに長年に渡って美味しい甘味を提供する店がポツンと一軒、今日も店を開けている。上等な黒豆、上質な素材だけで作った寒天。蜜は上品な甘味の黒蜜。たったこれだけ・・・。たったこれだけで幸せを運んで来る「梅むら」の豆寒。甘味愛好家には涙ものの「梅むら」。なのに店鋪展開も店鋪拡張も無い。坦々と同じ物を毎日同じ様に作って楽しませてくれる。

 

 


とっておきの豆寒。浅草の名店『梅むら』
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