2005.09.14
『ただ一つの味を守る・・』
丁寧に丁寧に、何度もさらされた十勝産の小豆100%の餡、それを包むのは薄さ1ミリあるかないかの薄皮。四国は愛媛の山里で生まれた
饅頭である。
その昔、一人の巡礼者にひと夜の宿を提供した商家の主。その巡礼者か
らお礼にと饅頭の製法を教えられたと云う。その美味しさは、たちまちのうちに評判になり、宇和町にある山田薬師寺の薬師如来の伝説に因み屋号を山田屋として店を開くことになる。創業、慶応3年、ただ一つの美味を受け継いで代々5代にもなる。
『山田屋まんじゅう』、その小さな饅頭の中に代々受け継がれた技術があり、積み重ねられてきた時間、そしてこだわりも詰め込まれている。うやうやしい気持ちで包みを開けて、口にひとつ放り込む・・。つちかわれた時間ってヤツを味わう瞬間だ。
しかし、そんなこだわりを全く感じさせない程の優しい味である。やはり、本物は人を威圧しない。
思わず、もうひとつ・・・、小さな贈り物に手がのびる。
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積み重ねられた時間は買えないが、
この小さな饅頭から歴史の一端を味わう事が出来る。
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